オーストラリアにおけるクリケット

オーストラリアでは、クリケットは歴史的にも古く、全国的に親しまれています。

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国民的スポーツ、クリケット

冬はラグビーリーグ、オージーボール(オーストラリアン・ゲームズ)が人気がありますが、夏は主にクリケットが盛んに行われています。トゥウェンティ20方式のプロクリケットリーグのビッグバッシュリーグ(BBL)は、毎年12月〜2月まで行われ、多くの観客を集めています。

クリケットはオーストラリアでも最も人気のあるスポーツで、夏になると国際マッチやBBLの観戦のみならず、ストリート、公園、裏庭、ビーチなどで、様々な場所で草クリケットが行われています。冬の時期には室内で行う「インドア・クリケット」が盛んに行われています。

オーストラリアのメディア「Sweeney Sports」の報道によると、オーストラリアの国民の69%がクリケットに興味を持っていると言われています。オーストラリアでは東海岸ではラグビー、その他地域ではオーストラリアンフットボールが人気だが、クリケットは全国的に行われており「国民的なスポーツ」として知られています。

2017〜2018年の国勢調査では、約160万人のオーストラリア人が、クリケットの競技会に出場したことがあると示されいます。更にクリケットをプレーしたことあるオーストラリア人のうち、30%が女性であり、オーストラリアでは女性の参加も幅広く行われております。

ドナルド・ブラッドマン

1920年代〜40年代に活躍したドナルド・ブラッドマンは、クリケット界最大のスターであり、オーストラリア最高のスポーツマンと呼ばれています。

少年時代はスタンプとゴルフボールを使って、裏庭にある水タンクにボールを当てて、不規則に跳ね返ってくるボールを打つ練習で、抜群の反射神経と技術を養っていたという逸話があるブラッドマン。若き頃から才能に恵まれ、22歳で数多くの記録を作り、当時不況で国が傾いていた頃のオーストラリアのスーパースターとなりました。

数々の記録を作り、1948年に達成したバッティングレート961は歴代最高で、未だに破られていない記録です。テストマッチでの生涯の平均のラン数は、99.94を記録しており、1試合ごとに100ラン以上は当たり前に打っているバッツマンでした。

ドナルド・ブラッドマンは。まさしくサッカーにおけるペレ、ボクシングにおけるモハメド・アリ、野球におけるベーブ・ルースというように、クリケットを象徴する「神様」のような存在です。

ドナルド・ブラッドマンは、2001年に92歳で生涯を終えましたが、生前ではオーストラリア人では唯一、記念切手となった人物であり、2008年にはブラッドマンをデザインされた20セント硬貨が、1000万枚発行されており、クリケットに携わるものや、オーストラリア人にとっては、かけがえのない人物には違いありません。

オーストラリアナショナリズムの支柱

オーストラリアにおけるクリケットの歴史は古く、最初にプレーされたのが1803年と言われています。オーストラリアの入植者が最初にプレーした団体スポーツがクリケットであり、1826年にはオーストラリア・クリケット・クラブが設立されました。1838年にはメルボルン・クリケット・クラブが設立され、街の中心部に、後に南半球最大のスタジアムになる「メルボルン・クリケット・グラウンド」が建設されました。

19世紀の後半に、インドで起きたセポイの反乱(インド大反乱)をきっかけに、イギリス帝国は絆を確かめるために、南アフリカ、インド、西インド諸島などとともに、オーストラリアでもクリケットの試合を行うようになりました。

イギリス帝国にとっては、絆と同時に、植民地に対して精神的な優位性を示すために、クリケットを用いていましたが、本国に対して劣等感を抱いていたオーストラリアにとっては、本国に劣っていないことを示すためにクリケットでの試合に対抗心を燃やしていました。このことがオーストラリアのナショナリズムの支柱となりました。

地域ごとでラグビーリーグとオーストラリアン・フットボールで二分するオーストラリア。連合国家として統一されているものの、各州ごとでの帰属意識が強く、国としての一体感を持つことはできませんでした。しかし、全国的にプレーされていて、最も歴史の古いスポーツであるクリケットは、地域の文化圏の違いが大きいオーストラリアにとっては、一体感を出していけるスポーツでした。

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オーストラリアにおけるクリケットは「事実上のオーストラリアの外交政策」とも呼ばれており、テストマッチでのキャプテンは、オーストラリアのスポーツ全体で最も重要なポジションと呼ばれています。

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