新国立競技場はクリケットで有効活用しよう

「cricketista」の趣向とは若干異なりますが、東京五輪で建設された新国立競技場の活用法について、当サイトで提案したいと思います。

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毎年14億の赤字

新国立競技場は昨年12月の報道によると、年間14億円の赤字になるようです。

当初はサッカーやラグビーのスポーツ興行としての収入だけではなく、コンサート収入も見込んでいましたが、ピッチとスタンドが離れているため、サッカーやラグビーなどで使用されることは少なく、コンサートでも矢沢永吉のライブのみで、有効に活用できる状況ではありませんでした。コンサート使用を見込んでいたにも関わらず、屋根のない新国立競技場は音漏れの観点から使いづらさが指摘され、観客席と観客席との間が狭いことや、夏は暑くて冬は寒いなど、使い勝手の悪く、収益化が見込めないと見られています。

私はクリケット以外はサッカーも観戦していますが、サッカーの観点から考えると、あまりにも大きすぎてピッチと観客席が離れているため、非常に見づらい競技場には違いありません。このようなスタジアムであるならば、埼玉スタジアム2002を積極的に使っていくのは当然かと考えられます。

このまま赤字を垂れ流すだけでは、解体が望ましいという意見も理解はできます。

陸上競技場に客席はいらない

6万人以上も収容が可能な五輪スタジアム。しかし、あまりにも巨大すぎる上に、五輪終了後には「負の遺産」になりやすい面はどうしても否めません。サッカーやラグビーのスタジアムで使用するにも、フィールドを囲む陸上トラックにより、臨場感をなくしてしまう致命的な欠陥があるため、他のスポーツの関係者にとっては避けられやすい傾向にあります。

世界には8万人を超える収容人数のスタジアムは、30〜40ほどありますが、多くがアメリカンフットボール、サッカー、ラグビーなどで使用されており、陸上競技場は数える程度しかありません。

過去に五輪で使用されたロンドンスタジアムは、イングランド・プレミアリーグのウェストハムの本拠地となったため、可動式の席が設置され、2000年のシドニー五輪で使用された83,000人収容のスタジアム・オーストラリアも、ラグビーやサッカーの試合に対応するため、可動式の席が設置されました。

陸上の関係者には非常に申し訳ありませんが、五輪が終わってしまえば、陸上競技自体には集客力がないのは認めざるを得ないでしょう。陸上競技自体に毎大会数万人の規模の集客を見込めるようでしたら、まず他の競技のために改装するような案が出ないと考えられるでしょう。

昨年の世界陸上では、アメリカ・オレゴン州のユージーンにある「ヘイワード・フィールド」で開催されました。「アメリカ陸上の聖地」と呼ばれるこのスタジアムは、世界でも珍しい「陸上専用のスタジアム」として知られています。フィールドの中には走り幅跳び用のレーンや、投てき競技用のフィールドを用意されているように、スタジアム自体が陸上に特化しています。

このスタジアムの収容人数は、12,500人と決して多い収容人数ではありません。陸上王国と呼ばれるアメリカでも、陸上競技そのものの集客力は限られているものと考えられるでしょう。

これを踏まえると「陸上競技場に大規模な観客席はいらない」と考えられます。

陸上に対応できるクリケットスタジアム

サッカーやラグビーを観戦するのに、陸上競技場ではグラウンドまでの距離が離れているため、臨場感に欠けてしまいます。2015年に大阪府に「パナソニックスタジアム吹田」、2017年に福岡県北九州市に「ミクニワールドスタジアム北九州」、2020年には京都府亀岡市に「サンガスタジアムbyKYOCERA」が完成し、各ホームゲームで開催されるように、日本ではJリーグクラブがある都道府県では、新たにサッカースタジアムが建設される動きがあります。

ロンドンスタジアムのように、サッカー開催時には観客席を稼働させることで臨場感の問題を克服しているスタジアムはありますが、新国立競技場に可動式の席を設置する場合は、莫大な費用がかかるのは想定できるでしょう。

では、可動式の席を設置することなく、陸上競技と共用できるスポーツを開催すればいいのでは…と考えてみましょう。それが「クリケット」です。

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上の写真は、オーストラリアにある「メルボルン・クリケット・グラウンド(以下MCG)」です。収容人数は100,025人で、FNBスタジアム(南アフリカ)、マラカナン(ブラジル)などを超え、南半球では最大のスタジアムです。

名前の通り、クリケットを主に使用しているスタジアムです。クリケットの他には、オーストラリアン・フットボールもこの競技場で行われています。大規模な集客が見込まれる試合では、稀にサッカーやラグビーなどで使用されます。

MCGは、1956年のメルボルンオリンピックの主会場として使用されており、近年では2006年にイギリス連邦に所属している国や地域が参加する「コモンウェルスゲームズ」でも使用され、2026年のコモンウェルスゲームズでも主会場として使用される予定です。

五輪やコモンウェルスゲームズになると、MCGには陸上競技用のトラックが設置されます。可動式の席がなしに、サッカーやラグビー、はたまた野球のスタジアムでは、臨時で陸上トラック・フィールドを設置することはできませんが、クリケットのスタジアムではトラックを設置するだけで対応が可能です。

クリケットは、国際規格で118mと128mの楕円形が最小のサイズとされているため、新国立競技場では横幅が若干ギリギリですが、プレsekeーは可能かと考えられます。

よって、新国立競技場はクリケットでこそ最も活きるスタジアムであるといっても過言ではないでしょう。

日本でマイナーでも世界でメジャー

「新国立競技場をクリケットで使用すれば良い」と書いたところで、クリケットの人気が決して高くない日本では、代表の試合で使用するにしても持て余してしまうのは想像に容易いでしょう。日本ではクリケットの国際試合は、栃木県佐野市にある「佐野市国際クリケット場」で開催しています。

日本では定着していない競技のために新国立競技場を活用するのでは、数万レベルの観客を集めるのは無理難題ではないかと容易に考えられるでしょう?

では、それでもなぜ「クリケットに使おう」と言えるのか?

それはインドやパキスタンなどの南アジア諸国や、オーストラリアや南アフリカ、西インド諸島などのイギリス連邦諸国で人気を誇る競技であり、海外ではメジャースポーツとして知られているからです。

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昨年オーストラリアで行われたT20ワールドカップでは、10万人収容のMCGを開催地としてチケットを販売すると、わずか5分で完売しました。そして、2022年10月23日に行われた試合では、90,293人を動員しました。

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これには両国の敵対関係が主な理由であり、両国の独立後は3度の印パ戦争やカシミール紛争などで定期戦を何度も中止をしてきました。2000年代には定期戦は復活したものの、2008年のムンバイ多発同時テロにより、インド政府がパキスタンとの定期戦は凍結を発表しました。その後、両国のクリケット評議会は、定期戦再開のために働きかけをしましたが、現状ではインド政府の許可が降りていない状況です。

そこで考えられることは「新国立で定期戦を開催しよう」というアイデアです。

インド、パキスタンの両国で定期戦を行うのは、治安上の不安があることを考慮すると、第三国での開催が有効と考えられます。印パ戦は90年代にカナダやUAEで開催された実績があります。

国立競技場はかつて「トヨタカップ」が開催されていました、元々はサッカークラブの欧州王者と南米王者が、ホーム・アンド・アウェー方式で対戦が行われていましたが、両国のサポーターが度々暴動を起こしたために、第三国での開催として、治安の良い日本で開催したことが「トヨタカップ」の始まりでした。

要するに当時の「トヨタカップ」の方式を取って、日本でクリケットの印パ戦を開催すれば良いのです。

日本人が来なくても外国人が来る

日本で知名度が低いクリケットを日本で開催しても…と思うかもしれません。

しかし、トヨタカップが始まった頃の1980年の日本は、まだJリーグが発足されておらず、日本のサッカー漫画の金字塔「キャプテン翼」もまだ連載が始まっていませんでした。つまり、日本でのサッカー人気はあまり考慮されなかったのかと考えられます。

サッカー人気が定着していない時期で、トヨタカップが開催ができたのであれば、クリケットでも同じように世界トップクラスの「印パ戦」の定期戦を招聘するのは、いいアイデアではないかと思います。

「日本で観たい人がいない」と考える人は多いかもしれませんが、別に日本人が観戦しなくても、インド・パキスタン両国や、日本在住の外国人などが、一斉に新国立競技場に集結するのは容易に考えられるでしょう。W杯のチケットを販売した瞬間、5分で売り切れてしまうほどの人気カードなら、新国立競技場もいとも簡単に客席を埋めてしまうでしょう。

しかも、定期戦は、テスト、ODI、T20Iなど3種類の試合方式を数試合行うのが定例であり、トヨタカップのように1試合で終わるものではありません。5試合行えば、合計30万人以上の動員は見込めるでしょう。

また、印パ戦を定期開催することにより、南アジア諸国からの観光客が定期的に日本に訪れるので、インバウンド需要も見込まれます。新国立競技場でクリケットを開催することで、コロナによって冷え込んだ観光業界にとっても、起爆剤になるのはきたいできます。

また、日本で開催することによって、敵対関係であるインドとパキスタンを繋ぐ架け橋となり、外交面で強い影響力を持っていけるのではないかと考えられます。

新国立はクリケットの聖地にしよう

まとめです。新国立競技場でクリケットを開催すると、様々なメリットが考えられます。以下の効果が発揮されるでしょう。

国際クリケット評議会(ICC)東アジアでの普及を見込まれる
クリケット市場の拡大
インド・パキスタン印パ関係の改善を見込める。
治安の良い国で定期戦が可能になる
日本政府回収費用を掛けずに有効活用できる
格納式の席を拡張する必要はない
クリケットで収益を得られる
南アジアで外交に貢献できる
日印関係・日パ関係の向上
日本の観光業インバウンド需要が見込まれる
新国立競技場の適正客席まで遠いサッカーには向かない
陸上競技は客席を埋めるほどの集客力はない
フィールドのサイズはクリケットが最適
日本クリケット協会(JCB)国内でのクリケット普及を見込める
将来的なW杯開催のきっかけ作りになる
陸上関係者普段は撤去せざるを得ないが、
簡易的に陸上トラックを設置が可能になる

いかがでしょうか?上のまとめを見るとわかりますが、クリケットこそ新国立競技場を有効活用できるのではないかと考えられるでしょう。

現状、クリケットは日本ではマイナー競技であり、日本でクリケットの人気を高めていくのは容易ではないでしょう。現状では自力に人気を獲得するよりは、熱狂的な人気を誇るインドをはじめとした南アジア諸国の力を頼っていくのがベストと考えられます。

クリケットは「マイナー競技」と言われても、考え方を変えれば、クリケットは「世界的に人気があるクリケットこそブルーオーシャン」と考えられます。

クリケットは、日本、インド、パキスタンの抱えている政治問題を解消する起爆剤になる可能性はあり、経済的な影響力も小さくありません。

今こそ、新国立競技場が問題を抱えている今だからこそ、クリケットを有効に使えるチャンスです。

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