クリケットにおけるキャプテンの役割について。
概要
クリケットにおいてキャプテンは、他の競技と同様にリーダーシップを取ります。しばしば「スキッパー」とも呼ばれています。
他のスポーツと異なり、各チームの監督ではなくグラウンド上にいる選手たちが戦略や戦術を決定していくクリケットでは、キャプテンがチームのあらゆる判断の最終決定権を持っています。野球やサッカーでは、監督が選手交代や戦術などを決めていきますが、クリケットではその役割のほとんどはキャプテンが握っています。
クリケットのキャプテンは、他のスポーツのキャプテンよりも意思決定を下す権利があるので、結果に対して大きな責任を伴います。
キャプテンが行うこと
コイントス
まずキャプテンは試合前にコイントスを行います。コイントスで勝った方は、先にバッティングを行うのか、守備を行うのかを決めていきます。
攻守の選択の判断は、主にピッチ状態が判断の基準となります。ピッチが悪化する可能性や、天気予報や気象条件などによって、攻撃か守備かを選択していきます。
また、自チームと対戦相手の相対的な戦力も判断材料になります。先にバッティングで点を稼いていきたい場合はバットを選びますが、後半にウィケットが取りにくいと考えられる場合は、先に守備を選択することもあります。
守備位置
キャプテンは、ボウラーと相談しながら、守備位置を決めていきます。クリケットでは、一部の制限はあるものの、ボウラーとウィケットキーパー以外のフィールドプレーヤー9人のポジションは、キャプテンが自由に変えることができます。
守備位置は味方ボウラーと相手バッターの特徴によって決めていきます。ただ、1ボールずつ守備位置を変えたり、守備位置の変更に時間がかかった場合は、ペナルティ(相手にランが加算される)を下されることもあります。
ボウリング
キャプテンは、守備時に誰がボウラーを務めるのか決めていきます。
野球では監督が行う「ピッチャー交代」に近いですが、クリケットでは2オーバー連続で投球することができないので、6球ごとで誰がボウラーを務めていくのか決めていきます。
ボウラーのコンディションや、対面するバッターの相性、更にピッチ状態を考慮し、誰がボウラーを務めていくのか決定していきます。
また、ODIなど50オーバー方式のゲーム方式になると、25オーバー以降に新しいボールを使用していくのか、キャプテンが判断していきます。ボールの劣化具合を見極める力が問われます。
打順
バッティングサイドになると、キャプテンは打順を決めなければなりません。通常、クリケットではそれぞれのバッターが得意とする打順はありますが、バッターのコンディション次第で打順が変更する場合もあります。
バッティングを決めていく傾向は、1,2番手には「オープニングバッツマン」と呼ばれる、一番手を得意とするバッターが選ばれます。試合の序盤では、ピッチに水が多く含まれているため、ボウラーは速球派を起用していくことが多いですが、速球に強いボウラーが選ばれることが多く見られます。ババー・アザム(パキスタン)、デイヴィッド・ワーナー(オーストラリア)、ロヒット・シャルマ(インド)などがよく担当しています。
そして、3番手にはピッチ状態が乾き始めた頃に任される傾向があります。この打順になると、主にチームの顔になるバッターがよく任されます。ヴィラット・コーリ(インド)、ケイン・ウィリアムソン(ニュージーランド)、スティーヴ・スミス(オーストラリア)などがよく担当しています。
打順が中盤になると、バッティングもボウリングも両方行うオールラウンダーが起用される傾向にあります。スピンボウラーもよく後半に登場します。最後は打順の最後は主にペースボウラーが担当になります。守備時にボウリングを行うために、バッティングをなるべく行わないように、後半を良く任されています。
デクラレーションとフォローオン
テストのフォーマットになると、更に役割は追加されます。
限られた日程の中で試合が終わらないと「引き分け(ドロー)」になるクリケットでは、5日の中で試合が終了するように、10アウトになる前にバッティングを終了することもあります。これを「デクラレーション」と呼ばれています。
また、両チームが1イニング目を終了し、先行チームが200点差をつけている場合は、2イニング目を後攻チームに先にバッティングをさせることができます。点差によって攻守を逆転させる権限を「フォローオン」と呼びます。
その他
他には試合中に味方選手が負傷した場合、バックアッパーと交代させる権限がキャプテンに与えられています。
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